『GANYMEDE』20号 2001年1月



薄明から海へ      柏木麻里





   1



 薄明


うべなわれた

ぬくもりがのこされて



明けても明けても
包んでいる





   2


透明な血をにじませて


もちあげられ
吸われてゆく



空と海のあいだ に ひきあう




 わたしを離さないで






   3


嵐の翌朝

海は自分の底を見つめている


 どんな
 呼び名も
 ひとつではいられない濁りのなかへ



わかることのない
澄んだまなざしを沈めてゆく

光とともに










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