薄明から海へ 柏木麻里 1 薄明 うべなわれた ぬくもりがのこされて 明けても明けても 包んでいる 2 透明な血をにじませて もちあげられ 吸われてゆく 潮 空と海のあいだ に ひきあう わたしを離さないで 3 嵐の翌朝 海は自分の底を見つめている どんな 呼び名も ひとつではいられない濁りのなかへ わかることのない 澄んだまなざしを沈めてゆく 光とともに